URBAN FOLKLORE   

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「ツッキー、大丈夫?」

「――先行っていいよ、大丈夫だから!」

「―わかった、じゃあ・・・いってる」 

――――――――――――

「東峰さんは、嫌じゃないんですか?」

「?何が?」

「下から 強烈な才能が迫ってくる感じ」

「あーまぁ心は休まらないかな・・・俺と月島はさ。
ポジションとか役割的に日向とライバル関係に近いから
ヒヨコだった日向が日に日に成長するのをひと一倍感じるんだろうな。」

「・・・・・・。」

「・・・―でも俺は、負けるつもりは無いよ」

――――――――――――

「おい今サボったな?!囮でも跳べ!」

「目敏いなぁ・・・悪かったよ・・・」

――――――――――――

「”合格点をとっていても100点を目指さない”・・・って感じなんだよな・・・月島は。
別に熱血を求めるワケじゃねーけど、このまま実力で抜かれていくならレギュラー替えることになる。
コートに立つのは試合で”勝てる”メンバーだからな。」

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午後練中に私が見聞きしただけでもこれだけのことがあった。
加えて、成長した同ポジション、そしてエースのあの貫禄。


頑張れ、頑張れ、頑張れ。
決して出せない言葉だ、私には。



さん!!」


「はいぃ!!・・・って・・・山口くん?」


例によって洗い物を、考え事をしながらしている時に、急に後ろから話しかけられたものだから変な声を出してしまった。
焦っているみたいだ、山口くん。
びっくりしたけど、何で山口くんが私のところに来たのかは大体、想像がつく。

さん!さん最近ツッキーとよく話してるから・・・その・・・
さんなら、今のツッキーに何て、言う?」

山口くんは私が月島の過去を知っていると、感じているんだろう。
どうして私に?などと余計なことは言わずに、素直に本当のことを言った。

「私はなんの力にもなれないよ。きっと他の人にもね。」

「そっか・・・日向も、そんな感じのことを言ってたよ。」

「そう・・・でもね、でも、山口くんならできるて、私は思うよ。」

きっと私以上に月島のことを知っていて、ずっと一緒で、
天才でも、素質も、目立ったものはないのに、ずーっと頑張ってる山口くんだから。

「そう、思う?」

「思うよ。山口くんがいて月島は幸せだって、いつも思ってた。」

「・・・!ありがとう・・・さん。俺ちょっと行ってくる!!」

行ってらっしゃい、と言う間もなく山口くんは走って行った。
ちょっとして、「ヅッギィィイィィ!!!」っていう奇声が聞こえた。

―――――――――

「あ!山口くん戻って来た。」

仁花ちゃんの声で出入り口を見た。
そんなに心配していなかったけど、あの山口くんの顔を見る限り大丈夫そうだ。

「山口ー月島はー?!」

「音駒と梟谷のW主将に捕まったっぽい。」

「何?!羨ましい・・・!」

「・・・日向はさ。ツッキーをライバルだと思う?」

「当たり前だろ!同じポジションだし、おれに無い物全部持ってる。
絶対負けねえ。」

たまに見せるゾワっとる顔でそう言った後、
日向くんは練習に戻るべく走って行った。

「日向と月島君がライバルなら」

「?」

「太陽vs月だね!」

「え??」

「”日向”と”月島”だから!」

「!そっかそうだね・・・!・・・そうなるといいな」

「ふふ、なるよ。」

ちゃん??」

「楽しみだね。」