URBAN FOLKLORE   

12


あぁ、来てしまった。
水泳、スイミング、プールの時間だ。
この時間だけは顔をはっきりと出さなくてはならない。

顔を見られるのがまずいのではなくて、去年普通に顔を出していたら誰だアイツみたいになったので、今年もその二の舞にならないかどうか、それが問題だった。
まぁこんなことで悩んでるのもバカらしいので、今年はとりあえずできるだけゴーグルをつけて乗り切きることにしていた。

ちゃん、なんでずっとゴーグルしてるの?」

「えっ、えーと、ちょっと日差しに弱くて!網膜が!」

「そっかー。」

もう私のアホに慣れてる友達好きすぎる。
話かけてきた友達は「目、青いしね。」と謎の解釈で納得してくれた。
そして少し小さな声で続けて言った。

「みてみて、野球部だけすごい筋肉ついてる。みんなそれで騒いでるよ。」

自分の保身で精いっぱいで周りがざわついていることに気が付かなかった。
言われて男子の方を見ると、明らかに野球部とその他で見た目が違かった。
筋肉についてはこの間ひと悶着あったばかりなので驚きはそれほどなかった。
しいて言うなら、この間白河くんの腹筋は拝めなかったので見てろうかと思って目を凝らしたけど、座ってる白河くんは顔を伏せている体制て、全身があまり見えなかった。

「誰か見てる?」

「うーん、誰も!」

「嘘じゃん!」

友達の指摘を笑って誤魔化した後、普通に授業が始まり、何事もなく終えたことにほっとして、体と目を洗って更衣室に向かうところだった。

「………。」

「……………。」

更衣室へ向かうプールからの出口で出くわした。
白河くんに。
私は白河くんの上半身を一瞥した後、無言で両手を頭の位置にあげて威嚇のポーズをとった。
こないだの茶番を表しているつもりだ。

「………………。」

「……………………バカじゃないの。」

ゴミを見るような目だった…。
今は両目が見えているだけにいつもよりキツく感じる。
とりあえず仕返しでお腹を2、3回つついてやるとチョップされた。

「…も見られてたから。」

「?」

いつも通りボソッと言うのでよく聞こえなかった。
2回言うつもりも私の反応を待つつもりもないらしい。
白河くんは前髪をいじりながらそそくさと去っていった。

男子は髪の毛とか楽でいいなー。
なんて思っていると髪が長くてシャワーに時間がかかっていた友達がやってきた。

「お待たせ。なんか白河くんのことつついてなかった?」

「ないよ!」

「なんで嘘つくの?!」



―― 白河side ――――――――――――――――

「なぁ、アイツめっちゃスタイルよくね?」

「俺も思ってた、手足ながっ。」

「だれだれ?」

水泳とか、洗濯物が増えるし面倒くさい。
あまりやる気がなくて伏せていると、周りからそんな声が聞こえてきた。
十中八九、のことだ。
ていうか、こういう時は普通に顔を出しているのだろうか。
そういう理由でを確認すべく顔を上げた。

(バカか…?)

はずっとゴーグルを目に装着したままで過ごしていた。
分っていたけど、は結構抜けている。
顔隠して体隠さず。
いや、スクール水着じゃ隠しようがないけど。

逆にちょっと頭がアレなやつほど大成しがち…なんて考えながら授業を終えると、更衣室に向かう途中でに出くわした。

(何も言わない、なんなんだ。)

このまま無言なのであれば行くか、と思ったとき、#m#が変なポーズをとった。
それで無言。
どうしようもないしこのままでは邪魔なので、意味不明なポーズと、ゴーグルでやり過ごせると考えていただろうことに対して一言申すと、腹を軽くつつかれたのでチョップを返した。

通り過ぎていく男共が少しざわついている。
もうシャワーをあびて帽子を取っているのでゴーグルはしていないを見て、本当に顔しか気にしてないなと確信した。
俺が問い詰められも困るし、体は隠しようがないけどせめてすぐ更衣室に向かうとか、その頭どうにかしろという意味でもう一言投げやりにつけ足して、俺はその場を去った。


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こういう話を本編にしちゃうと番外が書けなくなることに気づいた。
でも白河相手になんとなく仲良くなってく描写が本編としても必要だと思って…。