URBAN FOLKLORE   

15


「あはははははっ!!」

「ちょっとちゃん笑いすぎじゃない?!」

「だって!あっははははは!!…うぇ。」

成宮くんリボン、神谷くんにボール、白河くんにクラブ。
私の手具を持たせて教えたポーズをとる3人のレオタード姿を勝手に想像して笑い、お腹をかかえてマットの上を転げまわる私を捕まえて両頬をつまんだのは白河くんだった。

「へんな想像してるだろ。」

バレてる?!
笑いがとまらないまま冷や汗がでてきて変な声が出るから逃げ出そうとしたけど、馬乗りになってる白河くんが身じろぎひとつさせてくれなかった。

「おいエロいぞ。」

「…………。」

神谷くんがニヤニヤ顔でそう言うと、白河くんはパッと手を離した。
私は軽く咳き込みながら、こういう時一番に茶化す成宮くんが静かじゃないかと思って確認すると、教えたのとは別のポーズだけど見事に開脚してリボンを回していた。

「成宮くんすごい!」

「もっと褒めていいんだよ~?」

「なんでそんなに股関節柔らかいの?手先も器用!」

「それはねぇ君、最強の投手だからね、できないことはないのだよ!」

「彼女できないだろ。」

「白河黙って!」

「あぁ~そっか!私の方も何か野球に通じるもの持ってるかなぁ?」

「たしか持ってきたバットそこにあるからちゃん振ってみれば?」

成宮くんが指さした先には確かに金属バットがあった。
一応外のスペースがある所で振ってみるけど、イマイチこれで良いのか悪いのか分からない。
成宮くんは他の手具を持ってきて遊んでいるから、神谷くんと白河くんに「どう?」と聞いてみた。

「女子にしては振れてんじゃねぇの?」

「全然ダメ。」

白河くん言うと思った!
確か、神谷くんが俊足で1番打者でいるように、白河くんはどんな打法もそつなくこなす器用な打者として2番を務めているはずだ。
教えてもらうには適任かも?
一振りしてみた感じだと、ちゃんとやれば体幹と下半身が鍛えられる気がする。

「じゃあ白河くん教えてくれる?」

私が再びバットを構えながら挑発的にお願いすると、黙って近づいてきて私の後ろにぴったりくっつくように立ち、腕や腰や足の位置を直した。
腕はまだしも、腰や脚もガッツリ触られたので驚いたけど、私もレッスンとかで触られ慣れているし、頼んだのはこちらなので特に反応はしないでおいた。

「おいしょ!」

「打てないやつほどそういう声だす。」

「私は別に打たないし!どうだった?」

「ダメ、腰で回してるだろ。」

あぁそっか、もっと下半身を意識しないと。
指摘をちゃんと呑み込んでまた構えようとすると、また白河くんが後ろに回ってきた。
今度は自分の脚を使って私の脚を整え、後ろから抱えるように手を回し、私がバットを持つ手に自分の手を重ねてきた。
私は白河くんにすっぽり収まった形になり、こうするとやっぱり体格がいいことがかなり分かる。

今度はちゃんと下半身を意識したつもりだったのに、いざ私が振りを始めると、動かそうとした身体が白河くんに阻止されて動かなかった。

「なんでこんな上半身動くわけ?」

「えぇっ、動いてる?」

「動いてる。腰痛めたらマズいだろ、ちゃんとやれ。」

優しいのか厳しいのかわからない!
とりあえず甲子園準決勝チームの2番打者に素振りを教えてもらえるなんて機会他にない、そう言い聞かせて「はい!」と返事をして振りぬいた。

うーん、まだ白河くんに動き止められてる。
白河くんは離れない。
できるまでやるつもりかも。

…ていうかこれやっぱり近すぎる!
さっきは助けてくれた(?)神谷くんの反応が一切ないけど、何をやってるんだろう。


―――――――――――

「なぁ鳴、白河セクハラスイッチでも入ってんの?」

「え?」

「いやいいわ、てかエース様はマジで器用だな。」