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私の決勝戦を見に行くという意思は変わらなかった。
少しだけど、ちゃんと見届けるために野球の詳しいルールも予習した。
当たり前だけど相手も強豪校で、青道高校と言うらしい。
野球観戦などは初めてだったけど、なんとか稲実側の応援席の端につけた私は、相手チームを見てな名前の通り青がきれいなユニフォームだと思った。
これから、どちかのチームの夏が終わる。
3年生にはこれまでのすべてを終わらせる人もいるだろう。
白河くんは私が、その終わりをみることを危惧したのだ。
私が中途半端で、どちらも選べる道を残した弱い人間だったから。
私自身も、半分はそれを確かめる意味もあってここへ来た。
このままではこの熱さが後悔の夏になってしまうから。
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たくさんの感想がある。
まずは観客席からの応援で、野球部の皆がどれだけすごい人たちだったのか思い知らされた。
成宮くんなんか、私が気軽に話していい人ではなかったのかもしれない。
相手チームは何回も投手が変わったのに、成宮くんは1人で投げ切った。
今度会ったらほめたたえよう。
神谷くん、本当に足が速い。
走っている所を見たことがないわけではないのに、こうして試合で見ているとあの速さが本当に怖くて、本格的に野球観戦をするのが初めてだった私でも神谷くんが打席に立つ時の相手チームの気持ちになって震えた。
上半身はいつも見ているけど、今度会ったら脚を見せてもらおう。
青道高校の3年生エースの人を、正直私は見ていられなかった。
野球と言うスポーツがいかに残酷であるか、私はこの日、長身でどこか気弱そうだった相手のエースから多くを学んだ。
8回の相手の攻撃で2点差をつけられたときには流石にもうダメかと思った。
けれどマウンドのみんなが落ち着いていたから、私も落ち着いて見ていられた。
もっともこの時の私は、負ける気がしないという意味で落ち着けたのではなく、負けてもいいのだという覚悟を皆が持ってると思いこんだから心を静められた。
なんて愚かだったんだろう。
私が愚かで弱いことに最初に気づいた人が、また私にそのことを知らしめた。
デッドボール!と、実況の声が大きく響く。