URBAN FOLKLORE   

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そうだった、夏休みだった。

決勝の日は結局眠れなかった。
私は外出が多いから、手続きが面倒になる寮をやめて、高校の近くのアパートの一室を借りている。
寮のことで悩んでいた私に両親が提案してくれたことだ。
小さい頃からわりと遠征に行ったりしていたし、あまり心配していないみたいだった。

いつもなら、私ってやっぱりしっかりしている方だよね、なんて思いながら散らかった床を鼻歌でも歌って歩くところだったけど、今日はそんな気分じゃなかった。
けだるいまま朝食を準備しているときに外があまりに静かなことに気が付いて、そういえば金曜日に終業式があったな、と思い出したのだった。

幸いまだ制服に着替えてなかったから私は練習着に着替えて、教室に今日はそちらに行きますって連絡した。
ただ手具を旧体育館に置きっぱなしにしていたので、まぁ教室で借りてもいいのだけど、学校に行きたい気分だったから取りに行くことにした。


高校に近づくといつもの金属音や掛け声は聞こえなった。
甲子園行きが決まった次の日くらい休みなのかも。
学校に行きたかった理由が野球部を見たかったからだから少し残念。

何事もなく手具を回収(ちょっと重い)して帰る道すがら、あまりに静かすぎて違和感を覚えた。
なんかこう、喜びでグラウンドを駆けまわったりしないのだろうか。
みんな寮で静かに過ごしているの?
殊勝なことで。

私は暑い中少し遠回りして野球部の寮の方へ向かった。
とりあえず誰でもいいから存在を確認できれば昨日からざわざわしている心が少し落ち着く気がするのだ。
用具入れかなにかの影から少し顔を出して覗いたけど全然静か。
残念、という意味で「うーん。」と声を出すと、後ろでジャリ、と砂を踏む音がした。

「のぞきなんて良い趣味してるじゃん。」

頭にボールがぶつかった人だ。
元気じゃん、よかった。

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プリンセスダイアリー読んだので文にメグキャボット感がでてる…。
でしょ?!