URBAN FOLKLORE   

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「………?うわっ!顔こゎっゲホッッ!」

「このバカ!」

知らない場所で目覚めて上体を起こし周りを見渡すと、すごい形相で睨んでる白河くんがいた。
驚くと同時にむせると、いつもの罵倒と一緒に背中をさすってくれる。
私が落ち着くと今度は肩をつかんで寝かされた。
体がだるくてその所作にそのまま従ってしまう。

「……ありがとう。ここってどこ?」

「その前に何があったか理解してる?」

「……………はい。」

「ここは野球部の部室。怪我の治療とかに使うところ。」

保健室が開けられなかったか、緊急だと判断されたか。
本当に申し訳ない…。
このところの過労に加えて、風邪の兆候があったにもかかわらず練習を続けた結果、倒れたのだ。
それをきっと、野球部の関係者が見つけてくれて、とりあえずクラスメイトで、まぁ私の事情も知っている白河くんが世話を頼まれて不機嫌、そんな感じなのだろう。

「もう少したったら起こそうと思ってた。」

「本当にごめんなさい。」

私はかけられていたタオルケットをにぎり、膝をかかえ呟いた。
嵐は去ったのか、今はもう普通の会話に支障がないくらいには雨風の音が気にならない。
すぐに帰って寝よう。
いつまでもここにいて、これ以上誰かに見られたり、迷惑かけたくない。

「…すぐ帰るね。他にお世話になった人がいたら挨拶しといてくれる?」

「俺だけ。」

「え?」

「俺が見つけてここに運んだ。誰にも見られてない…はず。」

「ええぇ?」

白河くんは、だって見られたくないだろ?って顔で見てくる。

本当に、この人は……。

多分、いや絶対今顔が赤い。
風邪っぽいせいって思ってくれてると助かる。