15
土日練習は朝から通しで行うため、平日の部活よりも早く終わる。
選手や私達マネージャーにとって一番自由に使える時間だ。
天馬くんはどうしてるのか知らないけれど、まさかの中学生3人暮らしの私達はこの時間に大量の洗濯をしたり部屋を掃除したり買い出しをしたり、結構忙しい。
それでも3人で手分けすれば1日に修めることは可能。今日は日曜で、白竜と青銅は珍しくサッカー部の人達と遊ぶ予定があるらしいので昨日の土曜にまとめて3人で家のことをこなして、今日買い出しを一人で引き受けた。
2人は何か穴埋めをすると言っていたけど、今後こういうことは何度もあるだろうし、お互い様ってことで断った。それに一人でのんびり買い物するのもたまにはいい感じ。
先に個人的なお店を回って一通り楽しんだ後、買い物リストを見て買い出しをした。
お米だけは白竜と青銅が帰りに買ってきてくれると言っていたけど、お米を抜いても一週間分の食料は結構重い。
(う…重い…これ家まで持っていけるかな…。)
よいしょ!なんて声を出して2つの大きなスーパー袋を持ち上げ直して気合いを入れる。
結構汗もかいている気がするし、端からみたら見苦しいんだろうなとか思いつつも、なんとしても家まで運ばねばならないという使命感の元、足を速めようとしたその時、
「おい!」
後ろからそんな声がした。名前を呼ばれた訳でもないので自分が呼ばれたのかどうか分からないけれど近くでそんな声がしたら確認してしまうのが人だ。
私は思わず振り返る。
そこにはばっちり私を見ている同い年程の男の子の姿があった。
「あの…私?」
「…お前、だろ。。」
「そうですけど…。」
あなたは?そう言いかけた瞬間に思い出した。
大体こっちで私のことを知っている人なんて限られている。そしてこの柄の悪さ、間違いなくシード。
数秒でそこまで辿り着いた思考が答えを教えてくれた。
「磯崎くん…?」
「忘れてんじゃねえよ。」
「ご、ごごごめんね。」
磯崎くんとはやっぱりゴッドエデンで知り合った。
話という話をしたことは無いに等しいけど、私は彼のデータを専属で取っていたことがある。
結局、磯崎くんの化身を見ることは叶わなかったけれど他の面で充分に優秀だった彼は割と短期間でゴッドエデンを去ることになった。それからどのように配属されたかは知らないため、本当にそれきりだ。
「、お前こんな所で…というかこっち来てたのかよ。フィフスが崩壊してから何してんだ?」
「え、えーとね、磯崎くん白竜のこと知ってるよね。あと青銅も。」
「知らない訳ないだろうが。」
「ご、ごめんなさい!」
「なんでそんなびびってんだよお前。」
「あ、いや、すいません。」
自分が口調きついって分かってないのだろうか…。
でも基本的にシードの人達は気性が荒い。私の周りには比較的穏やかなシードが多くて恵まれてるんだなと思った。
「で、白竜達が何?」
「えっと、白竜と青銅と私は雷門中に転入してサッカーやってるよ。」
「な、雷門中だと?雷門中に白竜と青銅とか、さらに強くなるじゃねえか。」
「うん、私もそう思った。磯崎くんはどこに通ってるの?」
「俺は万能坂中だ。ここからまぁそんなに遠くない。気が遠くなる坂はあるけどな。」
「あ、あーあそこか!毎朝運動になるしいいんじゃない?練習試合することがあったらよろしくね。」
「ん?何、お前マネージャーな訳?」
「ごめんそこ言ってなかったね。私は雷門中のマネージャーやってるよ。」
最初のピリピリした雰囲気はどこえやら、私は荷物を下ろしてしばらく磯崎とたわいのない話をした。
5分も経ったかなと言う頃、磯崎くんが気を利かせたのか、会話を区切って家はどこなのかと聞いてきた。
普通に場所を答えると、磯崎くんは黙って私の荷物を持ち上げた。
「磯崎くん?!」
「運んでやる。その距離じゃキツいだろ。」
いいよ、と言おうとしたけれど私も残りの距離を無事荷物を持って帰宅できるか心配だったし、断ったら断ったで怒られそう。
ここは好意に甘えようかな。
「えっとじゃあ…磯崎くんの時間があるなら、お願いしたいです。」
「俺は大丈夫だ。ほれ、案内しろよ。」
「は、はいっ。」
―――――――――――
20120410
他シード出してみたり。
私は隼総が好きです。