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結構、大きな2つのスーパー袋は両方磯崎くんが持ってくれた。
私は手ぶらになる。本当に申し訳ないが流石、鍛えているだけあって家まで来るのに1回も荷物を下ろしさなかった。
「あ、ありがとね。磯崎くん。」
「どうってことない。ただお前じゃ絶対無理だったと思うぞ。」
「あはは…本当助かりました。」
「中まで運ぶぞ。ドア開けろ。」
「は、はいぃ。」
私がカギでドアを開けると、磯崎くはスーっと中に入って台所を探し当てて荷物を置いた。
「…で、お前誰と住んでるんだ?」
「う……やっぱり、分かっちゃう…?」
「隠してたつもりか?アホかお前。荷物にしたって台所の様子にしたって広さにしたって1人なんてことはありえねぇ。しかも選手でもねぇのに稲妻町にいるってことは地元に帰ってないってことだ。稲妻町出身て訳じゃないだろ?あと中学生が1人暮らしなんてできるはずないしな。」
「返す言葉がございません…。」
そうだよね、磯崎くんの言う通り。家は割と綺麗で閑散としてるくらいだし、もしかしたらバレないかもなんて思ってた私が馬鹿でした。
バレてもちゃんとした理由があるから大丈夫といえば大丈夫だけど、あまり人には言いたくない事実だ。
「白竜と青銅だろ。」
「?!ななななんで分かったの?」
「自分でさっき名前出してたじゃねぇか。」
「そうだった!」
「本当アホだな、お前。」
「う…あの、このことはあまり口外しないで貰えると助かるんだけど…。」
「わーってるよ。言わねぇし。」
磯崎くんは割と誰にでも突っ掛かるタイプだから正直不安なんだけど、なぜかこの時の顔は真剣そのもので、私が念を押す必要はないようだった。
「ありがとう…。」
「……帰る。」
「えっお茶くらい出すよ!」
「暗くなってきたし、もしこのまま居て白竜達と出くわすのはゴメンだ。帰る。」
「そ、そっか…あの、本当にありがとう!」
「…ん。」
私がお礼を言うと磯崎くんはふいっと後ろを向いてしまって何かポケットを探ったと思うと私の前に携帯が差し出された。
「?」
「アドレス教えろ。」
「あ、ああ!うん分かった。」
私はもこに越す時に貰ったメールと電話のみのプランにしてある携帯を出す。
白竜と青銅も色違いの物を持っている。
「赤外線でいい?」
「おー。受信する。」
私が「そうしーん」なんて言いながら送ると、受信した磯崎くんは無言で自分の携帯を物凄い早さでいじった。
そして磯崎くんがパタンと携帯を畳んだかと思うと私の携帯からメールを受信した音が。確認するとそれはやっぱり磯崎くんで、メールの本文に磯崎くんのアドレスと番号だけが載せられていた。
私は手際のよさに感心する。
「また何かあったら連絡よこせ。あと白竜と青銅には言うなよ。」
「え、何で?」
「何でもだ。」
「んー…分かった。」
「よし、じゃあ帰る。」
そう言って磯崎くんは私の頭をポンっとやった後勝手に玄関へ向かうので私も見送りをした。
「今日はありがとう。また会ったら何かお礼させてね。」
「………お礼か。」
「……?」
私が頭に?を浮かべた瞬間、磯崎くんがどアップになって頬に何やら感触を覚えた。
ほんの数秒して私は何が起こったのか理解する。
「い、いいい磯崎くん?!」
「はははっお礼、確かに貰ったぜー!」
「もう!!」
さっとドアを開けて走って帰る磯崎くんを追いかけることなく私は玄関先で真っ赤になる。
心臓がうるさい。
あ、買って来た物を片付けないと…。
とにかく気をまぎらわそう。
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20120417
次から磯崎視点と白竜達の話書きたいです。